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沖縄大学 2024大学院要覧
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—4— 本研究科の理念?目的は、現場志向、ネットワーク志向、学際志向を基本的な姿勢として、地域社会と一体となって問題と格闘するなかから、地域の自立的発展のための研究や問題解決の方法を構築することである。 沖縄は米軍基地が高密度で集中し、それが地域の住民の平和を脅かすという、日本と東アジア、太平洋地域、あるいは日米関係の矛盾が先鋭的にあらわれている場である。また、沖縄は亜熱帯気候の島嶼という自然環境を有しており、水資源、エネルギー、食料などを含めて、地域の持続的な発展可能性の課題をかかえる地域でもある。このような現実的で実践的アプローチを必要とする地域のかかえる課題に取り組んでいくには、現代沖縄の社会?文化?政治?経済?歴史?思想といったさまざまな面に関する深い理解が不可欠である。また、人文社会科学の諸分野の成果を総合し、「民間学」として出発した、近現代の沖縄学を批判的に継承するとともに、沖縄の社会や文化を新たな視点で解明していく必要がある。そのためには、近隣のアジア諸地域との比較や関係性の探究を通じて、沖縄社会を考察していくことが重要となる。とくに、東アジア地域を視野に入れることで、それが沖縄社会をより多面的なものとして、複眼的に考察する視点が与えられ、複雑に錯綜した現代の沖縄社会の構造的な分析に寄与することにつながる。 また、沖縄において、公共政策や産業育成、健康福祉や生活環境を含めた地域社会の新たな発展という課題に挑戦していくには、従来以上に、行政と地域の住民、さまざまな組織や企業体、そして大学や研究機関など、多様な主体が連携?協働して地域社会を創造し、運営していくという発想が必要となる。地域社会が抱えるさまざまな課題に取り組むためには、経済、法、社会、政治等にかかわる諸学問領域のみならず、保健や福祉、環境や生態、都市計画等の諸分野の知見と総合させながら、実践的に探究する姿勢が重要である。 本研究科が取り組む現代沖縄研究は、地域社会の諸課題に応え、地域社会の発展に寄与するものである。同時に、現代沖縄研究が対象とする諸課題のなかには、研究や実践における先例が乏しく、依拠すべき体系となる学問領域が必ずしも存在しない場合も多い。本研究科は、地域の住民の立場にできるだけ寄り添って自ら試行錯誤しながら探究するという現場志向、さまざまな視点やアプローチによって現場にかかわっている主体と連携していくというネットワーク志向、そして、既存の学問領域を複合させながら課題に取り組むという学際志向による研究の発展をめざす。沖縄大学大学院現代沖縄研究科 地域経営専攻学位授与方針(ディプロマ?ポリシー) 沖縄の地域社会が直面する経済的、社会的課題を学術的に解明し、以下のいずれかの視点から、将来の学術的発展に貢献できる。(1)沖縄の経済や産業構造の問題を調査分析し、問題解決の方向性を示すことができる。(2)地域社会における法律や自治に関する諸問題を分析し、政策の提言等ができる。(3)沖縄の健康、保健、福祉等の実践的課題に取り組み、課題解決の方策を提示できる。(4)上記(1)から(3)までの諸問題を、専門的および学術的視点から分析?考察する研究能力を身に付けている。【修了判定?学位授与の基準】(1)本研究科に2年以上在籍し、本研究科所定の講義科目および演習30単位以上取得し、中間発表会を経て学位論文等を作成し、学位論文等の審査に合格した者に学位を認定する。(2)学位論文等審査においては、対象領域の研究水準に関する基本的な知識、研究テーマの方法および内容の明確さ、独創性、論文の体系性と一貫性、文章の完成度等の観点から、公正かつ慎重に判断される。教育課程編成方針(カリキュラム?ポリシー) 地域経営専攻では、沖縄社会が直面する諸問題について、専門的かつ総合的に対応するため、「講義科目」について「経済経営?産業分野」「法律?自治分野」「健康福祉?生活環境分野」「基礎研究」「事例研究」の5区分で編成する。(1)「経済経営?産業分野」では、沖縄の地域経済や産業構造、経営をめぐる諸問題について基礎的知識や研究方法を総合的に学ぶ。(2)「法律?自治分野」では、地域社会における法律や自治について、基礎的知識や研究方法を総合的に学ぶ。沖縄大学大学院現代沖縄研究科の理念?目的現代沖縄研究科 三つのポリシー

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