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2025.03.10#その他

集中講義「いのちの未来の平和学」開講報告

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2025年3月4日(火)から3月7日(金)にかけて、沖縄大学にて集中講義「いのちの未来の平和学」が開講されました。本講義には、事前登録で75名が履修を希望し、4日間にわたって多くの学生が学びを深めました。講義は、戦後80年を迎えた「沖縄戦の記憶継承プロジェクト」との連携を通じて、沖縄戦と平和についての理解を深めることを目的とし、戦争と平和に関する多角的な視点を学ぶ機会となりました。

なお、今回の集中講義には、OTV、QAB、NHKのテレビ放送局や琉球新報が取材に入り、戦後80年の節目を迎えてメディアの関心も高かったことが伺えました。

【1日目】初日は、沖縄戦について理解を深める講義が行われました。沖縄大学の創設者である嘉数昇の「すべての人が学べる大学を沖縄に」という想いが平和への強い願いと結びついていることが語られました。「首里教会と戦争」の講義では、沖縄戦で首里教会が激戦地となり、戦火で廃墟となった歴史が紹介され、首里教会の再建や沖縄社会における役割が語られました。

「沖縄戦の遺骨収集と平和活動」では、戦後70年以上が経過した現在も続く遺骨収集の現状やその意義について考えました。さらに、「戦争の哲学と当事者性の意識」では、戦争の加害性と被害性の双方の視点から戦争の本質について議論し、映画鑑賞を通じて戦争の記憶を見つめる機会となりました。「丸木位里?俊が描いた戦争と平和」では、沖縄戦をテーマにした芸術作品の紹介が行われ、戦争の悲惨さと平和のメッセージについて理解を深めました。

【2日目】2日目は、フィールドワークとして那覇市真嘉比や糸満市米須などの戦跡を巡りました。那覇市真嘉比の「ハーフムーンヒル跡」では、日本兵の遺骨が発見された現場が紹介され、戦時中の壮絶な状況が学生たちに伝えられました。糸満市の「魂魄の塔」では、沖縄戦で亡くなった多くの人々へ黙祷が捧げられ、その場所が持つ重みを感じ取る機会となりました。ひめゆりの塔では、戦時中に動員された学徒隊の歴史が語られ、戦争が若者に与えた影響について理解を深める貴重な時間となりました。

【3日目】3日目は、沖縄戦が残した心の傷についての講義が行われました。「沖縄戦とPTSD」では、戦争が引き起こした精神的なダメージがいかに長期にわたり人々の心に影響を与えるかが説明されました。特に、戦争体験者の心的外傷が次世代へと受け継がれ、現在の沖縄社会にもその影響が残っているという指摘に、学生たちは深く考えさせられました。さらに、映画「ふじ学徒隊」を鑑賞し、学徒たちの証言から沖縄戦に触れる機会となりました。

【4日目】最終日は沖縄戦の継承と沖縄大学憲章との関係について改めて学生たちと考えました。また、「わたしたちの平和構想」をテーマにしたワークショップが行われ、学生たちはグループごとに平和への具体的な取り組みを考え、発表しました。

「沖縄戦の記憶の継承」についての講義では、沖縄戦の生存者やその家族が語る体験談が紹介され、戦争の記憶を次世代に伝えていくためにはどうすればよいか考えました。

学生からは「平和のために自分たちにできることを考える貴重な時間だった」という声や、「沖縄戦の記憶を受け継ぎ、次世代に伝える役割の重要性を実感した」といった感想が寄せられました。

この集中講義を通じて、戦後80年を迎えるにあたり、沖縄戦の記憶を次世代へと引き継ぎ、地域と共に平和について考えることの重要性が再認識されました。

※講義日程

【1日目】3月4日(火)

1限目 山代寛?須藤義人(沖縄戦と首里教会?平和学プロジェクト説明)

2限目 須藤義人(沖縄戦の遺骨収集ボランティア?沖縄戦と平和活動)

3限目 西章(戦争の記憶を継承する緒はどこ?:おのれの心にある暴力性の自覚)

4限目 西章(丸木俊?丸木入里の芸術活動を考える:『HELLFIRE?劫火』を手がかりに)

 

【2日目】3月5日(水)

1限目 具志堅隆松 FW(那覇市真嘉比?ハーフムーンヒル跡)

2限目 具志堅隆松 FW(糸満市米須?魂魄の塔)

3限目 具志堅隆松 FW(糸満市米須?荒崎海岸の戦跡、熊野鉱山)

4限目 藤原健 FW(糸満市米須?ひめゆりの塔)

 

【3日目】3月6日(木)

1限目 名城健二(沖縄戦とPTSD)

2限目 名城健二(沖縄戦がもたらした戦後の家族問題)

3限目 藤原健?城間あさみ(ふじ学徒隊の記憶映画?映画鑑賞)

4限目 藤原健?城間あさみ(ふじ学徒隊の記憶を如何に継承するか)

 

【4日目】3月7日(金)

1限目 兼島徹(沖縄大学憲章と平和構想)

2限目 浜川智久仁(わたしたちの平和構想?ワークショップ)

3限目 藤原健(沖縄戦の記憶の継承について)

4限目 担当講師による座談会(新たな平和学を如何に構築するのか)